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循環器ケアにおけるコミュニケーションの重要性
日本の高齢化にともなう心不全患者の増加,そして医療費の増大や患者増加による医療提供体制のひっ迫は,現在大きな問題となっています。そしてこの問題に対応するための鍵は,予防,再入院の回避にあります。
つまり,病院のなかではなく,自宅に帰った後の患者さんの生活のしかたにかかっているのです。
どんなにいい薬も,飲んでくれなければ効果はありません。
どんなにいい治療も,食事や薬が管理されていなければ,その効果も長くは続かないかもしれません。
治療の効果を長く維持して,少しでも患者がのぞむ生活ができるようにするためには,良好なコミュニケーションによって患者の自己管理能力を高める必要があります。
ただ残念なことに,私たち医療者は養成機関においてコミュニケーションを学ぶ機会がほとんどありませんでした。
そこで,少しでも患者支援につながるコミュニケーションの学習をみなさんでおこなうことができればと考えました。
このサイトを通じて,みなさんとコミュニケーションを学んでいきましょう!
患者指導がうまくいかない
循環器疾患の患者さんを担当したとき,このような困りごとはないでしょうか。
減塩,内服,セルフモニタリング(体重,血圧)など,循環器疾患を患う患者さんには,退院後の生活習慣の改善が必要となります。
入院して治療を行う前の生活を変えて,今度は新たな生活習慣を身につけてもらわないと,患者さんの心機能がさらに悪化してしまったり,あるいは新たな心血管イベントが発生する恐れがあります。
だからこそ,私たち医療者は患者さんに新しい生活習慣を身につけてもらったり,これまでの習慣を変えてもらいたいと思って指導をしています。
でも皆さん,なんかうまくいかないことありませんか?
私たちの指導を聞いてくれる患者さんもいるんですが,こんなことを言われることもあります。
患者さんが「やらない」とは言ってないんですが,どうも手ごたえが感じられなくて,指導がうまくいってないなと感じます…。
あるいは,こんなふうに言われることもあります。
入院中に取り組んだ体重測定や薄味の食事。退院後もやってもらいたいと思うのですが,やってくれるか心配になります。
がんばって指導したけれども,なんだか,自分がやったことが無意味に感じてしまうことも…。
なんでこんなに一生懸命やっているのに,それが伝わらないんだろう。
なんで患者さんは自分の命に関わることをやろうとしないんだろう。
でも,自分の関わり方がいけないのか,患者さんのやる気がないからできないのか。どっちがいけないのかわからない。
動機づけ面接を学ぶことで,これらの疑問を解決することができるでしょう。
どうやって患者さんを変えるのか,を考える前に,私たち医療者の考え方や言動をどのように変えるのかを考えることで,その先に患者さんの行動変容が見えてきます。
患者の思いを引き出せない
治療法の選択や療養の場の決定など,患者さんやご家族にとって大きな分かれ目となる場面において,私たちがいかにして気持ちを引き出していくのかは重要な課題です。
心機能が低下し,体調も悪くなっていくなかで患者さんは難しい選択をしなくてはいけないことがあります。
また,家族も自分の家庭での役割や仕事をしながらどのように患者さんを支援するか悩みます。
どうすれば,患者さんが望む療養生活を支援できるのかを考えると,やはり大事なのか患者さんの思いや価値観です。
患者さんの気持ちを聞かなくちゃいけないとはわかっているんだけれども,うまく踏み込めなかったり,思いを引き出すことができないことがあります。
患者さんやご家族の役に立ててるんだろうかと不安になったり,終末期のケアに関わりたいとは思ってるんだけれどもコミュニケーションが苦手と感じて,ベッドサイドから離れがちになることはないでしょうか。
患者さんにどんな質問をすれば思いを聞くことができるのか。どんな言葉かけをすれば患者さんの気分をポジティブにできるのか。
どこか”自分が何かをやらなければ”と肩に力を入れるのではなく,患者さんは何を大切にし,何を感じ,何を考えているのかに意識を向けて,患者さんの思いを引き出していくことがよいのかもしれません。
動機づけ面接は,患者さんとの関係性をつくり,患者さんが考えていることや大切にしていることを引き出すことができるコミュニケーションスタイルです。
患者の気持ちを引き出すことに難しさや苦手意識がある方のお役に立てると思います。
動機づけ面接を学ぶ
動機づけ面接という言葉を始めて耳にする方も多いと思います。
下のボタンを見て頂き,みなさんの希望に合わせて,興味のあるところからご覧いただきたいと思います。